第2章責任関係 その5 − 責任関係 −

ミュー「責任関係、って難しい言葉だね。そゆの好きだよねエプちゃん。」
エプシロン「いや、別に俺の好き嫌いの問題じゃないだろ。」
「じゃあ、いきますかさっそく。エプちゃん。図2.8だよね」

「これ、図2.6に似てるだろ。組織構造をあらわしてたやつ」
「うん。おんなじかたち」
「だよな。じゃあ違うのはどこだ。ミュー」
「組織がパーティになってる。あと組織構造っていうのが責任関係になってるねエプちゃん。」
「ついでに、親と子が委任者と責任者にかわってるよな」
「うん」
「組織構造は組織と組織の間の親子関係を示してただろ。ACM社のボストン営業所とボストン2176型サービスチームとの関係とかさ。」
「ライン管理だったよね。」
「この図2.8はそれを、パーティとパーティとの間の関係、つまり人と人、人と組織、組織と組織との間の責任関係に適用したものになってるんだ。」
「責任関係って何?エプちゃん」
「うーん、管理、雇用、契約とかいろんな概念を責任関係としてとらえることができるんだけど、ここは例を示した方が早いな。」

例1 John SmithはAMC社で働いている。このことは責任関係の委任者をACM社、責任者パーティをJohn Smith、責任関係型を雇用としてモデル化される。


例2 John Smithはボストン2176型サービスチームの責任者である。このことは、管理者という責任関係型の責任関係において、John Smithがボストン2176型サービスチームの責任者であるというふうにモデル化される。


例3 Mark Thurszは王立外科医大のメンバである。このことは、専門家登録という責任関係型の責任関係においてMark Thurszが王立外科医大に責任があるという風にモデル化される。

例4 John Smithは、Mark Thurszが内視鏡検査を実施することに同意した。このことは患者同意という責任関係型の責任関係において、Mark ThurszがJohn Smithの責任者であるという風にモデル化される。


例5 セントメリー病院はパークサイド地区保健所と内視鏡検査を1996年から1997年にわたって実施する契約をした。このことは内視鏡検査サービスという責任会計型の責任関係において、セントメリー病院がパークサイドの責任者であるというふうにモデル化される。責任関係の期間は1996年1月1日から1996年12月31日までである。責任関係のサブタイプで、どのような手術まで含まれるかや契約期間内に何回実施されるかといった追加情報が与えられる。

「図がいっぱいだよ」
「パーティのインスタンス同士、例えばJohn SmithとACM社が、責任関係のインスタンスを介して結びつけられているだろ。」
「うん、わかるよ。それで、責任関係には委任者と責任者がいるんだね」
「そう。で、どういう種類の責任関係なのか、それが責任関係型のインスタンス、例1だと雇用との関連で示してあるわけだ。」
「わけだ。」
「つまり、責任関係型は責任関係の・・」
「パワータイプ、だね。エプちゃん。種類だもん」
「・・・そうだな。」