第3章 観測と測定 その5 − 測定 −

 入院などをすると様々な検査を受けることになります。身長、体重、血糖値、血圧値、などなど。そういった測定の量を人クラスの属性として持たせると、人クラスは非常に大きく複雑なものとなりかねません。そこで、測定する項目をオブジェクトとしてみなし、人クラスから外部に取り出してやります。測定オブジェクトには、それがどのような種類の測定なのかを示す現象型のオブジェクトと、測定結果を占める量とをリンクさせます。(図3.6)

 破線下側の操作レベルには日々変化する概念を置く、ということで、データベースなどに記録されるデータとなる部分に相当するのでしょう。破線上側の知識レベルはそれらのデータに意味を与える役割をもちます。次節以降、特に知識レベルにおいて、このモデルを次第に育てて行きます。

では、例とそのオブジェクト図をば。

例1 John Smithは身長6フィートである。このことはJohn Smithという人と、身長という現象型と、6フィートという量からなる測定で表現される。

例2 John Smithのピークフロー値(どれだけの空気をどれだけ早く肺から吐き出せるか)は180リッター/分である。このことはJohn Smithという人と、ピークフロー値という現象型と、180リッター/分という量からなる測定で表現される。

例3 あるコンクリートの試材がインチ四方当たり4000ポンドで示される郷土をもっている。ここでは人の代わりにコンクリート試材が、強度という現象型と、インチ四方当たり4000ポンドという量からなる測定で表現される。