第3章 観測と測定 その6 −観測−

 病院などで受ける検査には、身長、体重、ピークフロー値など量で測れる定量的なもの(測定と呼ばれています)以外に、血液型などA,B,O,AB等のようにカテゴリに分けられるものがあります。そこで、図3.7では「カテゴリ観測」という型を新たに考え、さらに量で測れる「測定」と新たな「カテゴリ観測」とのスーパタイプとして「観測」を導入しています。


 医者の行う診療プロセス、例えば患者の過剰な喉の渇き、体重の減少、頻尿といった症状から糖尿病という診断を行うといったプロセスは、図3.8のように「観測」の間の根拠と診断というリンクで表すことができます。

 上記の糖尿病と診断を下した診療プロセスを記録したオブジェクト図を図3.8.aに示します。


 「カテゴリ観測」が実際にの取りうる「カテゴリ」は、その観測の「現象型」に依存して決まります。例えば血液型という現象型のカテゴリ観測はA,B,O,ABというカテゴリを持ちますし、体重変化という現象型のカテゴリ観測は増加、減少、変化無しというカテゴリを持ちます。この様な「現象型」とそのカテゴリ観測がとりうる「カテゴリ」との関係を知識レベルのルールとして記述したのが図3.9となります。ここでは「カテゴリ」を「現象」と名前を変えてありますね。


 では、例題とそのオブジェクト図を示しておきます。

例1 ある人の血液型がAであることは、血液型Aの減少を持ったカテゴリ観測によって示される。血液型Aの減少は血液型という現象型にリンクしている。

例2 車のオイルレベルが下がっていることを車のカテゴリ観測としてモデル化できる。このときの現象型はオイルレベルで、とりえる現象は、過剰、適正、不足である。観測は車を不足の現象にリンクする。


 図3.9は次回に回します。