第2章責任関係 その4 − 続・組織構造 −

エプシロン「うん、うまいな。このクッキー」
ミュー「エプちゃんもう食べてる。今紅茶淹れるからちょっと待ってよ。」
「うん、じゃあ待ってる。」

・・・

「エプちゃん。」
「ん?」
「えっと、そのパワー・・なんとか」
「パワータイプ(powertype)な」
「うん、そうそう、パワータイプ。」
「パワータイプがどうした。」
「ってなんだったっけ?」
「あー、そうだな。車、あるよな。」
「うちには無いけど、エプちゃんちにはあるよね。それからトットさんとこにも。」
「そうそう。うちはセダンで、トットさんとこのはぼろっちい軽トラ。」
「ぼろくないよ。」
「まあ、それはいいから。で、車ってさ、いろんな種類に分けられるだろ。セダンだとかトラックだとか、バスだとかに。」
「うん。そっか、種類。」
「そう、車の種類、まあ車種とでもいうかな。この車種が車のパワータイプになるんだ。いいか、車種のインスタンスはセダンやトラックなんかの車の種類を表す。一方、車のインスタンストットさんのぼろ軽トラだとかうちの青いセダンだとか、具体的な車一台一台を表すんだ。」
「だからぼろくないと思うんだけど・・・」
「じゃあ、前に出てきた組織構造の例でクラス図を示してみよう。」


「エプちゃん。ライン管理や製品サポートが組織構造のサブタイプ?になってるけど?」
「組織構造のパワータイプである組織構造型のインスタンスは、組織構造の種類をあらわすんだっただろ?」
「うん、そっか、エプちゃん。種類だからサブタイプで表すことができちゃうんだ。」
「そう。で、汎化関連のとこに:組織構造型ってあるだろ。これは組織構造のサブタイプであるライン管理や製品サポートが、組織構造のパワータイプである組織構造型のインスタンスとなってることをあらわしているんだ。」
「うーん、良く見ないと見落としちゃうかも。」
「まあ、表記法の細かいことだから、あんまり気にしなくてもいいんじゃないかな。」
「うん。でも見落とさないようにこれからは気をつける。がんばる」
「そうか、律儀だなミューは。ついでだから、図2.7までいっちゃうか。」


「これは組織構造型にルールを配置したものになってる。」
「えっと、例えばライン管理になにかルールがつくの?」
「そう、ライン管理には、そのライン構造の組織構造に関するルールが配置されるんだ。
事業部、地域、部門、営業所の順で階層型の組織の構造になるとか、ね。」


「エプちゃん、図2.7には期間っていうのが組織構造についてるけど。」
「お、ミューにしては目ざといな。」
「エッヘン」
「その、期間ってのは、例えばボストン営業所とボストン2176型サービスチームとの間の親子関係が有効な期間を表していると思えばいい。」
「えっと?」
「仮にボストン2176型サービスチームが2012年3月に廃止されるとするだろ。そしたら期間を2012年3月までってしてやればいい。」



「ちょっと注意しないといけないのは、期間はそれぞれの組織構造のインスタンスに関連付けられていて、ルールの方は組織構造型のインスタンスに関連づけられてるってことだな。」
「ルールのインスタンスは、ライン管理って種類の組織構造について全般的に成り立つルールってことだね。一個一個の組織構造についてじゃなくて。」
「そゆこと。」
「エプちゃん。」
「ん?」
「紅茶。冷めちゃったね。」
「あ。」
「もいっかい淹れてくるね。」
「うん、頼むわ。ありがと」